アニメ版マブラヴオルタネイティヴ 成功のハードルが高すぎという話

 タイトルの通りです。「マブラヴオルタのアニメ化はどれぐらい成功のハードルが高いのか」、私はそれを伝えたかった(直球) というわけでさっそく行きます(前置き…)

 

※この記事の大半はアニメ版第1話放映前に書いてます。

 

ムリゲーポイントその① 「全3部作のうちいきなり第3部からアニメ化」

 有名なタイトルなので原作をプレイしたことない人でもなんとなく想像が付くと思いますが『マブラヴオルタネイティヴ』は『マブラヴ』の続編であり完結編です。マブラヴ『EXTRA編』(学園ラブコメ編)と『UNLIMITED編』(戦争編)の2つで構成されており(今思うとパワポケ2の『戦争編』ってマブラヴUNLIMITED編と設定似てるな…)、マブラヴオルタネイティヴは第3部ということになります。

 

 

  今回は第3部からのアニメ化です。(えっ?)

 

 ちなみにこれはシュタインズゲートで言うと「まゆりが死んで初めてオカリンが世界線を越えたところからアニメ化」って感じ。(序盤の平和な日常を過ごすパートやゲルバナの実験パート、だんだんと展開が不穏になっていくパートなどは全カットで) シュタゲを知ってる人からすると「それ新規勢話分からなくね?」と思うでしょうがオルタからアニメ化すると聞いたマブラヴファンもみんなそう思ってます。(いやホント新規勢話分からなくね?)

 

 また、今回アニメ化するオルタネイティヴ編はEXTRA編とUNLIMITED編をやるからこそ楽しめる、感動できるという要素が非常に大きい。「平和な世界でかわいい女の子たちと面白おかしい日常を過ごしたり、恋愛をしていた主人公が突如宇宙生物と戦争をしている世界に飛ばされる」というギャップ、「元の世界が懐かしい」「元の世界に帰りたい」と思う主人公への感情移入、50時間以上プレイヤーと付き合ってきた主人公の恩師がグロテスクに即死した時の衝撃、EXTRA編やUNLIMITED編で撒かれていた伏線が見事に回収された時の面白さ・驚き。マブラヴオルタの面白さにおいてそれらは決して外せない要素です。しかし残念ながら今回アニメで初めてマブラヴオルタに触れた新規の人はオルタが持っているこれらの魅力的な要素を体験することができないわけです。

 

こ…これはムリゲー…

 

ムリゲーポイントその② 「マブラヴオルタネイティヴはめっちゃ長い大作」

 マブラヴオルタは普通に読んでいたら最後まで読むのに60時間ぐらいかかります(1本道ゲーなのに)。60時間かかる作品を丁寧にアニメ化するとなるとどれぐらいの尺が必要だと思いますか?過去にノベルゲーでアニメ化した有名タイトルと原作をクリアするのに必要なプレイ時間、TVアニメ化した時にどれほどの尺だったかを簡単に書きだしてみましたがこんな感じです↓

 

タイトル            原作クリア時間  アニメ化時の尺

Fate/stay night(セイバールート) 15時間程     2クール 

Fate/stay night(UBWルート)   20時間程       2クール

Kanon京アニ版)        20時間程        2クール

AIR京アニ版)       15時間程     1クール

CLANNAD京アニ版)    80時間程       4クール

リトルバスターズ!        50時間程       3クール

CHAOS;HEAD           25時間程         1クール

STEINS;GATE           40時間程          2クール

CHAOS;CHILD          45時間程          1クール(+完結編50分)

ROBOTICS;NOTES          45時間程          2クール

 

プレイ時間45時間ぐらいかかるCHAOS;CHILDを1クールでやったアニメ版許せねぇ…!!

 これらを見るだけでも原作プレイ時間が約60時間のマブラヴオルタを丁寧にアニメ化するには2クールだと厳しいだろうなということが分かると思います。3クールもらえればイケるか…?ってレベル。ですが「作画カロリーも高く、製作費もかかるロボットアニメ(しかも深夜アニメ)で3クールも使わせてもらえるのか?」という問題にブチ当たります。

 また、その①で書いた通り第1部と第2部を省略しているため、それらに関連するシーンが出るたびに回想という形で尺を割かなければなりません。(じゃないと新規勢が話わかりません)主人公である白銀武はEXTRA編でどのような日常を過ごしていたのか、ヒロインたちはどういう人物で、武とどのような関わりがあったのか、UNLMITED編で

武はどういう体験をし、どういうことを思ったのか。今回は第3部からのアニメ化であるため、恐らく何かが起こるたびに主人公がそれらを回想し、視聴者へ説明していくスタイルを取るのでしょう。いや~ホントどうするんだ…

 

ムリゲーポイントその③ 「ロボットものだということ」

 わざわざここに書くまでもないと思いますが、ロボットアニメというのは普通のアニメよりも作画が大変ですし金がかかります。マブラヴオルタは戦闘シーンが多いので楽しみでもありますがそれだけ心配も大きいです。

 また、個人的に「こりゃ大変だよなぁ」と思うのが敵宇宙生物BETAのダメージや欠損表現です。今時手書きでロボットを動かしているスタジオはサンライズぐらいしかなく、当然ながらマブラヴオルタもロボット(戦術機)や敵宇宙生物(BETA)はCGで描かれます。これもわざわざ書く必要もないと思いますが、CGというものはダメージ表現、欠損表現がすごく苦手です。理由としては「それ用にいちいちCGモデルを作らないといけないから」。(昔のCGロボットアニメを見ると被弾したのに機体に大して傷が付いてないとかザラでしたよね) マブラヴオルタはロボットがダメージを受ける描写もそうですが、敵宇宙生物BETAが銃弾で血を吹き出しながらミンチになったり、腕等が弾け飛んだり、刀で切られて切断面を晒したり、臓物みたいなものが飛び出たりといった表現が非常に多いです。そして敵の数も多いためこれらの表現をたくさん描かなければなりません。こりゃ作画大変だよなぁと思います。ちなみにマブラヴシリーズは過去に二度スピンオフ作品がアニメ化していますが、個人的にはBETAのダメージ描写はあまり良かったとは感じませんでした。今回のアニメもPV第3弾が公開されましたが

#マブラヴ TVアニメ マブラヴ オルタネイティヴ 第三弾PV - YouTube 19秒の箇所の要塞級に突撃砲(36mm)を2丁フルオートで打っているカットも要塞級のCGモデルに傷がついてないですし(いくら強固な皮膚を持っている要塞級でも無傷はないだろう)、23秒あたりの突撃級の背面に36mmをぶちかましているカットも血は吹き出ていますがよく見るとCGモデルに傷が付いていません。制作側の苦労が忍ばれます。

 

 他にも細かいところを挙げたらいろいろあるんですが、大きいものでは以上の3点かなぁと。マブラヴはファンも多く、長年アニメ化が望まれながらなかなかアニメ化することがなかった作品でしたが、それにはこれらの要素が非常に大きかったのではないかと思われます。

 

 最後にもう一度言いますがマブラヴオルタのアニメ化、非常に成功のハードルが高い。心配要素がいっぱいです。ですが私はだからこそ成功してほしいと思っています。原作ゲームから声優が一新されたのは残念ですが、そこには5年後、10年後もコンテンツを展開していきたいという気概を感じますし、OPをVtuberが担当するのも「新しい層へマブラヴに触れてほしい」という想いを感じます。(twitterフォロワー3万人ぐらいいるし) 「進撃の巨人の作者がこの作品の大ファン」だと聞いて興味を持った層も割と見かけるし、昔と比べるとYoutuberの実況動画がいっぱい上がってたりtwitterで検索すると新規にプレイしている人も結構いる。コトブキヤのプラモデルも再販するしこの間再版された武御雷1.5も割と売れてるみたいだし。コンテンツの供給が止まっている期間が長かったのもあって、久々に勢いのあるマブラヴに若干テンションが上がってたりします。さて、今日放映の第2話楽しみだな~。(おわり)